2005/10/11

戦国時代ゲームを作るカナダの会社に潜入

takeda今年の5月、SF作家のロバートJソウヤー氏を訪ねてカナダに行ったんですが、
そのとき「不思議なゲーム会社がカナダにある」とのメールをいただきました。
その会社は武田信玄を主人公にしたゲーム「TAKEDA」を作り、さらに「TAKEDA2」も制作中とのこと。
なぜカナダ人が戦国時代のゲームを? しかも、なぜTAKEDA? かなり気合を入れて作ってあるし。
ものすごい気になるので、その会社Magitech(マジテック)を訪ねることにしました。
メールをやりとりしてわかったのは、
社内で日本語が話せるのは和歌山に4年留学したタイ人のパトリック君だけということで、さらにテンションがあがりました。


「いきなり鎧を着せられたり、変な味噌煮込みうどんを食べさせられたらどうしよう」と不安になりながらも、トロント中心部から路面電車と地下鉄とバスを乗り継いで無事Magitechに到着。パトリック君と社長のLeeのさわやかな笑顔に迎えられました。


社長のMing-Sheng Leeさん。台湾出身の方でした。紳士。
Lee-san
Leeさん自身は日本に住んだことはないけれど、日本に長い間住んでいたおじいさんの影響で、子供の頃から日本に興味を持ったそうです。
働いているのは7-8人で、タイ人、香港人、台湾人、といったアジア人です。人材は、トロント大学の学生から確保してるとのこと。
最初は会計ソフトなどを作っていたそうですが、おもむろにゲームを作りたくなり、その一作目がいきなりTAKEDAでした。
宇野「こちらで、こういったテーマのゲームは売れるのですか?」
Leeさん「サムライ系ゲームのファンは意外にいます」
宇野「タケダ1は売れましたか?」
Leeさん「We survived. (我々は生き残った)」
PCゲーム業界は厳しい状況で、TAKEDAもトントンくらいだったそうです。
それでもTAKEDA2を出すのは、せっかく作り上げたゲームシステムだから1作だけで終わらせるのはもったいないという理由からですが、何よりも「また作りたい!」という気持ちが大きかったようです。


ryoma
モニターの側にあったフィギュア。りょ、竜馬? しかもものすごい挑発的な態度。そりゃカメラもぶれるわ。


宇野謙「なぜ武田信玄なのですか」
Leeさん「戦国時代、特に鉄砲が入ってきた時代の「騎馬隊 対 鉄砲部隊」という図式がとても面白いと思ったんです」
ゲームシステムの説明を聞いていると「ここは将来的にはこうしたい」という話し方をするんで「もしかしてTAKEDA3の制作が決まっているんですか?」と聞いてみると
「考えてはいるけど、PCゲーム業界は厳しいから、TAKEDA2の売れ行き次第」とも言ってました。
(まあ、なんだかんだで出してくれると思いますが)
まずは前作「武田信玄」を見せてもらいました。
RTS(リアルタイムストラテジー)というジャンルで、リアルタイムで指示を与え続ける戦争シミュレーションゲームです。
セリフに「ござりまする」が妙に多いような気がしたけど、日本の会社が翻訳を担当したそうで、おかしなところはほとんどありません。
画面は2Dです。最初に選ぶ陣形が戦局を左右する点が特徴です。
1作目のレビューサイトはこちら。


figures

社長室には戦国もののフィギュアがたくさん! と思ったら、もろオールジャンル。スペースシップやらバイキングやらごったがえしてます。左にあるガンダム的なものには、異星の生物が絡みついてるし。


次に開発中のTAKEDA2(英語版)を見せてもらいました。すると、「織田、武田、長尾(上杉)の3つから選べる」という衝撃の事実をサラッと聞かされました。そう、そんなに武田にこだわってはなかったんですね。
宇野謙「『TAKEDA』という名前はそのままでいくんですか?」
Leeさん「タイトル変えるといろいろお金がかかるんですよね。著作権とかロゴとかで。しかも信長関連の名前は光栄が押さえてますし」
今回は「光栄型」シミュレーションの要素も取り入れているようで、政略結婚とか一向一揆といった政治関係のイベントも多いそうです。
SS
戦闘画面は3Dになり、画面以外の部分でもリアリティにこだわってます。例えば、
・足軽兵が槍をしっかりと構えるまでの時間(きちんと構えてないときに攻撃を受けると簡単にやられてしまう)とか
・馬に勢いがないときには騎馬兵の攻撃力が弱いとか
・弓兵は自分で「敵の攻撃を受けにくく、かつ自分の矢が届く場所」探し出すとか、
かなり細かい部分にこだわってます。
さらに戦闘で死んた武将は二度と生き返らない、敵の武将も生け捕りにはしないで殺すのみ、という鬼ルール。
SS
SS
このとき見せてもらったのは英語版ですが、セリフに「Oyakata-sama」と書いてあったのを見て「すごい!」っと思いつつ「こんなにこだわって大丈夫か?」と不安にもなりました。
地図を見ると、広島あたりで切れているので、「西はどこまであるんですか? 毛利家(3本の矢の話で有名なところ)はあるんですか?」って聞いたら、「あー。毛利ね。。。予算の都合で西のほうは削ったんだ。。。」と、この日一番の悲しい表情に。


books
部屋には日本のマンガとか学研の本が山積みになっていました。
Leeさんは日本語は7割くらいわかるそうです。あとは和歌山に4年留学したパトリック君に頼るわけです。
入口付近にはモーションキャプチャー(人間の動きをコンピュータに3Dのデータとして取り込む装置)がありました。「これが今までで一番高い買い物だったよ」とのこと。
キャプチャー作業は、社員が鎧の代わりに中古のホッケー用プロテクターを身につけ、馬の代わりに椅子にまたがり、行なったそうです。
takeda
椅子&プロテクター&社員が、こんなかっこいいCGに!
さすがマジック・テクノロジー、略してマジテック!


結局ゲームはプレイできなかったのですが、普通に「あ、面白そう」って思いました。Magitechに妙に愛着が沸いてしまったので、買ってしまいそうです。
取材後、バス停まで送ってくれたパトリック君に、「社長とパトリック君以外に日本に詳しい人はいるんですか?」と聞いたところ、
「社長が毎日のようにレクチャーしてるから、みんな詳しくなった」とのこと。
社長の熱意で、みんなを戦国時代オタクに。すごいパワー。
ほんと情熱さえあれば、言葉なんて関係ないんだと痛感。日本人のあなたにもモンゴル相撲とかベルギーワッフルのゲームが作れるわけです。さあ!


インタビューの時点では日本の発売元が決まってなかったので心配でしたが、
フロンティアグルーブという大きい会社から発売が決まったようです。よかった!
10/28日発売です。
ゲームの詳細はこちらへ!
武田信玄2オフィシャルサイト
amazonからも買えます。
あ、あと中国版パッケージ発見。
takeda chinese
ギリギリセーフ。